ボイスボット(AIコンシェルジュ)とは?従来のIVRとの違い
ボイスボットは、AIを搭載した音声対話システムのことです。ユーザーの音声を認識し、自然言語処理を用いてその意図を理解し、音声で応答します。
AIコンシェルジュは、ボイスボットよりサービスを意識した名前です。AIが人の代わりにお世話を焼いてくれる力強いサービスマンだと思っていただければわかりやすいでしょう。
従来の自動音声応答システム (IVR) との違いは、ボイスボットはより自然な会話に近い形で対話できる点にあります。IVRはあらかじめ用意された音声ガイダンスに従って番号ボタンを押していく方式でしたが、ボイスボットやAIコンシュエルジュの場合は、システムの質問に番号で答える方式ではなく、自然言語を使って、利用者が音声で質問や指示をすることができます。
ボイスボットソリューション比較
ボイスボットの代表的なソリューションを紹介します。
ノーコードで対話フローを作成、日本語に特化した補正技術と手厚いサポート
株式会社PKSHA COMMUNICATION
住所や名前など日本語の難しさを高精度に解決。独自辞書で認識制度を向上可能。リスト化した顧客一覧にアウトバンドコール実施。対話内容を引き継いでオペレータと連携。データベースや他システムとの連携も可能。
200社以上の導入実績、外部システムとの連携やヒヤリング結果の格納も
株式会社AI Shift
カスタム音声合成やFAQ検索機能。予約枠の代替案の提示を行い、アウトバンドコールにも対応。定期便の配送日変更や修理の受付などもAIが対応してくれる。
毎月250万件の対応をこなす、ボイスボット 自社AIを企業ごとにカスタマイズ
LINE WORKS株式会社
シナリオ設計から学習、システム連携までを企業ごとに行うことで、AIによる対応率が高まります。人とAI、どちらが対応する方が良いかをAIが振分ることで、AIによる対応を極大化し、人の工数を減らします。
ボイスボットの仕組み
ボイスボットは、次の順番で利用者の声を認識し、問いや指示に対して対応してくれます。
- 音声認識: ユーザーの音声をテキストデータに変換します。
- 自然言語理解: テキストデータからユーザーの意図を分析します。
- 応答生成: 分析結果に基づいて、適切な応答を生成します。
- 音声合成: 生成した応答を音声に変換して出力します。
「AI」は、音声認識、音声合成だけでなく、意味を理解し回答を生成するところに使われていて、まさにAI時代を象徴するサービスともいえます。
ボイスボットの利用シーン
カスタマーサポート
よくある質問への回答、注文状況の確認、トラブルシューティングなどがありあます。
AIが対応してくれるので、24時間365日対応が可能で、人間のオペレーターの負担を軽減できます。
ただ、現状AIの回答だけでは「ハルシネーション」と呼ばれる、誤った内容を回答してしまうこともあるし、利用者の感情まで正確に読み取ることができないといった問題もあるため、やり取りの途中で人間のオペレータに対話を引き継ぐ機能が搭載されていたり、やり取りの履歴を録音しておいて後日分析が可能な機能を搭載したソリューションも登場しています。
情報提供
天気予報、ニュース、交通情報などを提供します。
AIが回答するため、ユーザーの状況に合わせてパーソナライズされた情報提供が可能です。
例えば、位置情報を共有していれば、利用者のいる場所を特定した天気やニュースといった情報を伝えることもできます。
AIコンシェルジュサービスになると、クラウド上のシステムが他の様々なクラウド上のシステムと連携しながら利用者の複雑なシチュエーションに対応した情報提供を行うことも可能になります。
予約受付
レストラン、ホテル、病院などの予約受付が音声でできます。通常の電話のやり取りのように、お店の店員が電話対応してくれているような錯覚を生む体験ができます。
予約したい日時や人数などといった必須の情報だけでなく、駐車場があるのか?喫煙スペースがあるのか?など、予約をしたい人が気になる周辺情報についても、AIが学習しておくことで、AIコンシェルジュが気の利くサービスマンのように受付業務を行います。
エンターテイメント
会話相手、ゲームの案内役などができます。今後よりスムーズな会話ができるようなボイスボットが登場することで、利用者はあたかも友達と話すようなカジュアルなコミュニケーションをAIコンシェルジュととることが可能になるでしょう。
こうなると、AIコンシェルジュというよりは、「バーチャルアシスタント」「バーチャルエージェント」と言えるかもしれません。
結果、AIの学習内容によっては、利用者を楽しませるための様々なコンテンツを提供できます。
ボイスボットのメリット
ボイスボットのメリットは以下のものがあります。
利便性の向上
利用者は、キーボード操作をすることなく、音声で簡単に操作できます。
日本では、テキストでのチャットのやり取りが主流ですが、海外では音声情報をメッセージに添付したり、音声をテキストに変換するVoice to Textの技術が便利とされています。
これは、国民の識字率にも影響があるとされており、日本人の識字率は他国と比べても高いため、テキスト情報を好む傾向があるとも言われています。
逆に、SNSやチャットなどカジュアルなコミュニケーションを好む人も増えてきていて、今後音声によるAIとのコミュニケーションの利便性が多くの人に理解され、その結果ボイスボットのニーズは広がると考えられます。
効率化
24時間365日対応が可能で、人材不足の解消に役立ちます。また、複数の問い合わせに同時に対応できるため、待ち時間の短縮につながります。
2023年にNTTコミュニケーションが調査した結果によると、コールセンターに電話をかけてきた理由の一番が「ウェブでは解決しなかったから」という内容でした。
コールセンターの負担を減らすため、各社ホームページの充実を図っている一方で、情報が多くなりすぎてうまく探せなかったり、探すのを諦めたりする利用者も多いことが浮き彫りになっているといえます。
そうなると、「何を調べたいのか?」をはじめに聞き取ることができるボイスボットは、業務効率化の救世主となるはずです。
顧客満足度の向上
AIによる迅速かつ的確な対応により、顧客満足度を高めることができます。パーソナライズされた対応も可能です。
一方で、やり取りが長くなっても利用者の問題が解決しない場合や、クレーマーの対応など、人が対応しなければならない場面もまだまだ多く、より一層の性能改善が求められています。
コスト削減
ボイスボットやAI金鷲エルジュを導入することで、長期的に人件費を削減できます。
また、システムの自動化により、運用コストも削減できます。
ただし、初期投資がかかるケースが多いので、導入時には「必要な機能が充実しているか?」「自社のビジネス周辺の知識をAIが備えているか?」といった点にも留意して選定することが重要になります。
ボイスボットのデメリット
認識精度の問題
雑音や方言などによって、音声認識の精度が低下する可能性があります。
まだまだ完璧な認識は難しく、誤認識によるトラブルも発生する可能性があります。
対応範囲の制限
あらかじめ想定された質問や指示にしか対応できない場合があります。
複雑な質問やイレギュラーな対応には、人間のオペレーターが必要となることがあります。
感情の欠如
人間のオペレーターのような感情表現や共感はできません。
温かみのある対応を求めるユーザーには不向きです。
今後の展望
音声認識技術や自然言語処理技術の進化により、ボイスボットはますます高度化していくと予想されます。より自然な会話、より複雑なタスクへの対応、よりパーソナライズされたサービスなどが実現されるでしょう。
特に単純なボイスボットというより、AIコンシェルジュとなるボイスボットは、顧客との接点を強化し、業務効率を向上させるための有効なツールとして、今後ますます普及していくと考えられます。