ビットコインは、2024年3月に1ビットコインが円建てで1,000万円を超え、11月には1,500万円も超えています。
ドル建てで見た時に、ついに10万ドルの大台に乗るのではないかということで、大いに沸いております。
この急騰の背景には、大統領選でトランプ氏が勝利し、暗号資産に対する政策を大きく変えることを表明したことがきっかけとなっています。
前回大統領に就任していた時は、トランプ氏は暗号資産に反対の立場をとっていて、犯罪の温床になるという言い方すらしていたのですが今回は大きく考えを変えてきました。
では、どんなことを発表したのでしょうか?
トランプの暗号資産関連への発言
SECゲンスラー委員長解任
米証券取引委員会(SEC)の委員長を務めているゲンスラー氏がトランプ氏が米大統領に就任する2025年1月20日に委員長を退任すると発表しています。
これは、大統領選挙の期間中に、トランプ氏が、解任すると主張していたからだと言われています。
ゲンスラー氏は、暗号資産業者に対する締め付けを行ったのですが、それは決して職務怠慢といった類のことではなく、委員長として必要と思ったことをやっていただけとも言えます。
本来、大統領とは言え、職務怠慢などあきらかな問題がない委員長を解任することなどできないのですが、本人の意思で退任が決まっております。
「戦略的な国家ビットコイン準備金」の実現
もともと共和党のシンシア・ルミス議員が、2024年7月に、米連邦準備銀行(FED)に対して、戦略的準備金としてビットコインを保有することを義務づける法案「2024年ビットコイン法」を上院に提出していました。
この法案のメリットとしては、5年間で100万ビットコインを準備金として蓄えることで、36兆ドルもの国債を減らそうとしているものです。
現在のビットコインの流通量は、19,790,175BTCなので、100万ということはおよそ1/20つまり、5%程度を米国が持つことになります。
また、この流れはフロリダ州など、州単位でも起きてきていたり、ETFとして年金資産を運用したりする動きも出てきています。
米国を暗号資産の世界の中心地にすることを宣言
ニューヨーク経済クラブで、2024年9月5日、トランプ氏は「米国を暗号資産の中心地にする」と宣言しております。
実は、トランプ氏の息子らが立ち上げた暗号資産プラットフォームがあるのですが、こういったプラットフォームがあることで安全で高利回りな取引が可能だと考えているようです。
今プラットフォームは、Defi(ディーファイ)と呼ばれる、銀行などがなくても金融サービスが受けられるプラットフォームで、これにより金融が民主化されるという考え方のものです。
以前、Defi業者が、SEC(米証券取引委員会)に警告をされたこともあるということもあり、規制当局からの取り締まりは強かったのです。
トランプ政権はビットコイン政権
ドナルド・トランプ 大統領
約700万ドルの暗号資産を保有、米国を「地球上の暗号資産の中心地」にしたいと表明しています。
J.D.ヴァンス 副大統領
2022年時点で、最大10万ドル〜25万ドルのビットコインを保有。暗号通貨会計ルールSAB121を支持。
ハワード・ルトニック 商務長官
数億ドルのビットコインを保有している。「ビットコインは金のように取引されるべきだ」と発言。
マイケル・ウォルツ 国家安全保障担当補佐官
2023年時点で、5万ドル〜10万ドルのビットコインを保有。
ビベック・マラスワミ 政府効率化省トップ
暗号資産による寄付を受け入れた選挙候補者で、傘下のStrive資産管理会社は、ビットコインを顧客の投資ポートフォリオに組み入れると発表。
イーロン・マスク 政府効率化省トップ
11月21日時点で、テスラは11,509ビットコインを保有。ビットコインとドージコインの支持者
スコット・ベンセント 財務長官
「暗号資産は自由の象徴であり、長期的に存続する」と発言。
ポールアトキンス SEC委員長候補
デジタル資産とフィンテック企業を支持。
と、政府高官が暗号資産支持派が多い状況です。この状況で、さらに上院・下院ともに共和党が過半数を占めている状態では、何らかの大きな動きは起きてもおかしくはないでしょう。
ビットコインを準備金に組み込むに対する各国の反応
例えば、香港でもビットコインを「デジタル・ゴールド」といい、準備金に組み込む必要があると述べる議員がいたり、ブラジルやポーランド、韓国などでもこの手の考えに関する法案が提出されていますが、実際には却下されたりこれから議論が進む国が多いという状況です。
こういった議論になるのは当たり前とも言えるのですが、トランプ大統領が本当にこの施策を実現した場合、世界の風向きが変わらないとも言えません。
ボラタリティに危機感も
現在のように、ビットコインの価格高騰が続いているうちは問題がないですが、当然上がることもあれば、下がることもあります。
一方で、米資産運用会社バーンスタインのレポートによると、2025年に1BTCが20万ドル、2029年で50万ドル、2033年に100万ドルに到達するという考えを示しています。
金のように長い歴史の中で、ドルなどの通貨よりも信頼をされてきた物とはまるで違う、むしろ逆の立ち位置とも言えるビットコインにこれだけの資金を投入して良いものなのかどうか、疑問視する声も多いと言えます。
ビットコインに対する評価はそれこそ人それぞれではありますが、今後どのようになっていくのか、また、関連企業の成長にも注目が集まります。