株式会社荏原製作所(以下、荏原)の主力製品は、ポンプ、コンプレッサ・タービン、ごみ焼却施設、半導体製造装置等で、その製造・開発により多くの技術情報や規格文書が蓄積されている。
2023年9月には、これらの社内ナレッジを有効活用し、事業を加速するために、社内のデータストラテジーチーム・情報通信統括部門を中心に生成AI活用プロジェクトを開始した。
そして荏原は今回、概念実証を経て、生成AIを活用したプラットフォーム「EBARA AI Chat」を独自開発し、国内従業員向けに導入した。
また、2024年11月11日より、これまで活用されていた全社のQAチャットボットも同プラットフォームに全面移行する。
「EBARA AI Chat」は、GoogleのGemini、Microsoft社 Azure OpenAIのGPT、AnthropicのClaudeなどのAIモデルを選択し、社内の様々な領域のナレッジを安全に検索できるプラットフォームだ。
データソースの言語に関係なく、外国語での問い合わせに対して、その問い合わせ言語で回答できるような仕組みを導入しているのが特徴だ。
また、各領域のデータソースごとに閲覧権限のコントロールが可能で、全社向け・特定領域向けのナレッジ検索を同時に実現している。
各領域ごとに登録されたデータソースや、それに含まれるファイル一覧、管理グループ、情報区分、更新日時などを確認できるデータカタログ機能も搭載し、データマネジメントにも活用できる。
以前のQAチャットボットでは、質問と回答の設定に負担があった。そこで、チャットボットから生成AIを活用した「EBARA AI Chat」に置き換えることで、社内規則やマニュアル等を基に回答が生成される形になったことで、準備負荷が軽減されたほか、精度の向上や回答対象の拡大が図られたのだという。
また、どの言語で書かれたドキュメントであっても、外国語での問い合わせに対して該当言語で回答できる仕組みを構築し、多様な従業員の利便性が向上したとのことだ。
今後、荏原は「EBARA AI Chat」を国内外のグループ会社にも展開し、グローバルでの業務効率化を推進するとともに、生成AIをあらゆる事業・業務プロセスに組み込んでいく計画だ。
加えて、生成AIの技術変化に合わせたアップデートや新たなソリューションの開発を通じて、さらなるコスト削減を図るとともに、他社・大学・外部団体と連携しながら新しい技術やユースケースを積極的に取り入れ、活用していくとしている。