パランティア急伸、一体何がすごいのか?

最近パランティアの株価が急上昇しています。

この状態をみて、「パランティアってどういう会社?」と思った人も多いでしょう。

そこで、この記事では、以下の疑問に答えます。

  • パランティア急伸の理由は何か?
  • パランティアのAI技術の具体的な活用事例にどんなものがあるか?
  • アナリストの評価は?
  • 課題と注意点?
  • 競合サービスとの違いはどこにあるか?

よかったら最後まで読んでください!

パランティアとは?

パランティア<$PLTR>は、パランティア・テクノロジーズという会社で、主にビッグデータの分析をするためのプラットフォームを提供する米国企業です。

ちなみに、イーロン・マスクと一緒にPayPalを作ったピーター・ティールが創業者であることも有名です。

パランティアが提供するサービスは主に3つで、「Palantir Gotham」「Palantir Apollo」「Palantir Foundry」がそれに当たります。

パランティアの3つの主力サービス

Palantir Gotham

Palantir Gothamは、軍隊やテロ対策のアナリストが使うツールで、CIAやNSA、米国国防総省なども顧客に名前を連ねています。オサマビンラディンを発見する手助けをしたという逸話も有名です。

国家安全保障にとって重要なシステムとしても認識されているので、事業としてもかなり盤石なものだといえるでしょう。

Palantir Apollo

Palantir Apolloは、情報システムを継続的に改善したりデリバリーしたりするためのシステムです。

Palantir Foundry

Palantir Foundryは、企業のデータ統合と分析に使われるソフトウエアで、モルガン・スタンレーやエアバスなど大企業が主なクライアントです。新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時、パランティアの技術を使って感染を追跡したり封じ込めたりしていました。

PalantirのAI活用でなにができるのか?

パランティアはAI銘柄といわれるのですが、それには理由があります。

まず、Gothamは、AI分析によって人種差別をめぐる論争を引き起こしていたり、Foundryは、全米の電子健康記録をつかって数百の科学論文を生成、医療分野での利用が拡大しています。

また、前述した通り、新型コロナウイルスのワクチン接種運用を分析することに使われたり、さまざまなビッグデータの分析に活用されています。

そして、最近AIP(Artificial Intelligence Platform)というサービスを発表。これまでのプラットフォーム上で、機械学習(ML)や大規模言語モデル(LLM)を活用できるようになりました。

もともとパランティアのデータベースは、AIが利用しやすいデータ構造となっていて、さまざまなLLMをつかってデータにアクセスすることが可能になります。

また、AIエージェントを作ることもできるので、ビジネスプロセスのアクションと理解を提案することができます。

全ての意思決定をAIが行うのは危険と考える人も多いので、AIが実行する部分と人間が関与する部分を分けることもできるのです。

パランティアの株価が高い理由

パランティアのAIPは、Foundryのサービスと組み合わさることで、企業内におけるさまざまなデータを統合して経営判断に活かすことができることがすごいと言われています。

「さまざまなデータってどういうデータ?」と思うかもしれませんが、エクセルやワードなどのオフィスツールデータから、チャットのデータ、会計のデータ、CRMのデータなど、いわゆる企業内にあるデータです。

通常、こういったデータは連携が取れていないので、簡単には統合できないのですが、人はそれをやってのけますよね?この「人はできる」というところをAIが代わりにやってくれるというわけです。

こういったAIの可能性をいち早く実現できているというところと、それが実際に売れているという好業績が高い株価になっている理由であると言えます。

富士通での事例

富士通によると、富士通の保守部品を管理している100以上の情報システムのデータをパランティアで統合、簡単に状況が把握できるダッシュボードをわずか三ヶ月で構築したということです。

さらに、需要予測や作業効率化を可能とする30ものソリューションを作ったという事例があります。

どこまでできるのか?本当に簡単だったのか?については、追加インタビューをしないとわからないなと感じているものの、とても興味深い内容ではあります。

パランティアに対するアナリストの評価

複数のアナリストによるPLTRの評価をまとめると、以下のようになります。

  • 強み:
    • 独自のAI技術とデータ分析能力
    • 政府機関との強固な関係
    • 高い成長性
  • 弱み:
    • 顧客基盤の集中
    • 収益性の低さ
    • 事業内容の複雑さ
  • 機会:
    • AI市場の拡大
    • 商業分野への進出
    • 新規製品・サービスの開発
  • 脅威:
    • 競争の激化
    • 政府機関との関係悪化
    • プライバシー concerns

アナリストの意見は分かれており、強気な意見もあれば、慎重な意見もあります。

特に注目すべきポイント

政府機関への依存度

パランティアの収益の多くは、政府機関との契約に依存しています。政府機関との関係が変化した場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

B2B市場の開拓

パランティアは、B2B市場への進出を積極的に進めています。B2B市場での成功が、今後の成長を大きく左右する可能性があります。

AI技術の進化

AI技術は急速に進化しており、パランティアは常に最新の技術を取り入れる必要があります。AI技術の進化への対応が、競争力を維持する上で重要となります。

パランティアの課題

こういったITソリューションは、簡単に、自動的に、といって凄さをアピールすることが多いですが、本当に簡単なのでしょうか?

例えば、AIがデータを参照するのに、数字の羅列は、単位がわからないし、何の数字かもわかりません。

つまり、前処理として、このデータは、何を指すのか?というラベリングと意味付けが必須となるはずです。

通常、企業データベースに格納されているデータは数字や文字の羅列であって、AIにとって分析しやすい訳ではないので、この辺はあらかじめ人が前処理をする必要があるのではないかと思います。

一方で、ドキュメント類は、文書で書かれているので人と同じくAIが読み込めば内容がわかるので、ここはそれほど問題にならないでしょう。

パランティアの競合

企業データをAIが統合して、意思決定に役立てる、というソリューションはこれまでもたくさんあったのですが、その精度が低いこと、データを整理するところ相当なコストがかかることなどが嫌気されなかなか広がってこなかったところがあります。

しかし、最近は「Service Now」や「Snowflake」といったサービスも話題になっています。

Service Now

業務プロセスを可視化し、自動化する。さまざまな情報システムを統合管理する、といったようなことができるソリューションです。

AIを使って自然言語で入力した業務を業務フローに起こしてくれる機能などが話題になっています。

Snowflake

さまざまな情報システムから抽出したデータを統合したり分析したりするソリューションです。パランティアと似ている感じがしますが、Snowflakeは分析屋さんの代わり、Palantirは戦略コンサルタントの代わりになるところを目指していると考えるとわかりやすいかもしれません。

まとめ

パランティアの凄さが少しわかったのではないでしょうか?これまで戦略コンサルタントに頼っていたデータ分析とそこから見出す経営戦略のアドバイス。これをAIが代わりにやってくれるなら、何億するシステムだって買いたいと思う企業が多いはずです。

実効性がどの程度あるのかは、もう少し取材をしてみる必要がありそうですが、追いかけていきたいと思います。