NECとNEC Bio、がん免疫療法に重要なT細胞受容体を予測する生成AIモデルを開発

編集部

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NECとNEC Bio、がん免疫療法に重要なT細胞受容体を予測する生成AIモデルを開発

TCRは、免疫細胞の一種であるT細胞上に発現する受容体であり、がん細胞由来抗原を認識し、T細胞によるがん細胞への攻撃を誘導する。

TCRはがん免疫療法の有望なターゲットの一つだが、がん免疫療法に有用なTCRを同定する従来の手法は、ヒト末梢血サンプルからのTCR遺伝子クローニングなどの複雑な実験手順が必要である。

そのため、がん細胞由来抗原を認識するTCRの選別は容易ではなく、TCRを用いたがん免疫療法開発の課題の一つとなっている。

こうした中、日本電気(以下、NEC)と、NECの創薬事業でAIを活用した研究と臨床開発を担当するNEC Bio B.V.(以下、NEC Bio)は、独自の生成AI技術を活用し、がん細胞由来抗原に対して高い反応性を示すTCR配列を予測する技術を開発した。

今回TCR解析用に開発された独自の生成AIモデルは、がん細胞由来抗原に高い反応性を示す新規TCRの遺伝子配列を予測する。

ターゲットとなるがん細胞由来抗原と、物理化学的なデータに基づくTCR相互作用情報を学習させた機械学習アルゴリズムを用いて、目的の抗原に対して反応性の高いTCR配列を予測する。

そして、がん細胞由来抗原との反応性の高さを示すスコアとともに提示する。

なお、この生成AIモデルは、これまでのTCR配列の改変を実行するAIモデルとの比較において、確度と精度の面で高い性能を示したのだという。

また、同生成AIモデルによって設計されたTCRは、培養細胞を用いた生物活性の測定法である「セルベースアッセイ」において反応性を示すことを、愛知県がんセンターとの共同研究によって確認しているとのことだ。

この成果は、TCRに基づくがん免疫療法開発において、開発期間の短縮やTCR候補の選別などに貢献する可能性があるとしている。

両社はこの成果を、米国がん免疫療法学会の年次総会「SITC 2024 Annual Meeting」で11月7日に発表する予定だ。