デクセリアルズ株式会社と株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)は、生成AIを用いた技術領域の自動可視化システムの構築を開始したことを発表した。
これまでデクセリアルズでは、膨大な量の技術文書や論文を担当者が読み込み、既存技術の異なる分野への応用にむけた探索や、新素材・デバイスの開発を慎重に進めてきた。
しかし、1つの研究開発領域の中でも要素技術が複雑に絡み合っているため、その関係性を紐解き、有望な要素技術を見出すのには障壁があった。
例えば、新規研究開発領域では、関連する知識や情報が不足するケースも多く、担当者は時間をかけて理解を深める必要がある。また、担当者によるばらつきや知見・ノウハウの共有にも課題を抱えていたのだという。
そこでデクセリアルズとMRIは、2022年よりAIを活用したPoCを行った。
具体的には、大量の技術資料や論文を生成AIが解析し、長所・短所分析、要素技術を抽出。(下図①)そして、要素技術の関係性などを可視化した。(下図②)
さらに、要素技術の特徴や課題、将来性などを多くの論文から生成AIが自動的に分析・整理し、(下図③)検討ステップを保管することで、当該分野の再調査や別領域の探索にも同一プロセスへの適用を可能とした。
両社はこのPoCの結果、AIによって、求める事業領域の技術資料を選定、解析・図化し、素早く必要な材料をそろえることができるなど、いくつかの変革の可能性を見いだしたとしている。
そして今回、この成果をもとに、技術領域の自動可視化システムを構築し、新規事業探索部門で業務効率化と知見・ノウハウの組織知化を進めるというものだ。
さらに、将来的には、研究開発の現場でも、生成AIの活用により、迅速かつ多様な分野での業務遂行を実現させることを目標とし、検証を実施するとのことだ。
なお、MRIでは、今回の取り組みを通じて得られた技術文書の読解・解析に関する知見を、自社の生成AIソリューション「ララサポ」のラインアップ拡充やコンサルティングにて活用する計画だ。